鍼は、なぜ効く?

 

鍼治療を受けた経験がない方にとって、鍼の効果というものは、なかなか想像しにくいものがあるかと思います。

鍼による治療は、実に多岐にわたる効果を発揮し、あなたを悩ませている様々な症状を解決する画期的な方法の一つです。

 

鍼治療がどのようなものか、良く知らない方には、是非お知らせしたい鍼の6つの効果についてご説明いたします。

 

1. 血液の流れを改善する。

 

血液は細胞のライフライン

血液は、全身の細胞たちにエネルギーと酸素を送り届けています。

そのため、血液が完全に断たれると細胞は死んでしまいます。

筋肉の硬さや交感神経系が優位な状態が続くと、血流が悪くなり、細胞たちが必要量の血液を得ることができないと、細胞たちのパフォーマンスは低下してしまいます。

血液は、細胞にとってのライフラインです。

血液の量が足りないと、細胞たちは緊急事態を知らせる信号としての「痛み」や違和感を出すのです。

 

血管の渋滞が原因

筋肉の硬さがあると、血管が圧迫されて血流が滞ってしまいます。

血管を道路に例えると、道幅が狭くなってしまい、渋滞を引き起こしてしまうのです。

 

血管を拡げる鍼の力

鍼の刺激は、血管を拡げる化学物質(CGRPやサブスタンスP)を放出させて、血液の通り道を拡張します。

血管が拡張することで、血液の渋滞が解消されて、細胞に十分なエネルギーや酸素が供給されることで、痛みや違和感が消失するのです。

 

2. 脳の働きを高める。

 

痛みは、脳の疲労でも起こる。

脳は、末梢神経からの「痛み」を受け取ってもすべてを感じ取るわけではなく、とりわけ重要性と緊急性が高い情報を優先的に感じさせます。

しかし、極度の疲労や心配事などの心理的なストレスにより、脳の情報を処理する能力が低下すると、不必要な痛みへを感じたり、通常は痛みとして感じないものを「痛み」として感じたりします。

 

脳を癒す鍼の力

鍼の刺激は、疲弊してしまった脳を効率的に休ませる効果があります。

脳に休息を与えることで、脳の処理能力を回復させて、不必要な「痛み」を感じにくくするのです。

 

3. 快楽物質を出させる。

 

脳に、‟ご褒美”を与える。

鍼の刺激が加わると、エンドルフィンなどの化学物質が放出されます。

エンドルフィンは、痛みを抑える鎮痛効果とともに脳に対して快楽物質として働きます。

「ランナーズ・ハイ」などの現象もこのエンドルフィンによるものとされています。

普段、非常に働き者の脳細胞にとって、鍼の刺激は何よりの報酬なのです。

 

4. 痛みを感じにくくする。

 

「痛いの痛いの飛んで行け」の原理

痛みは、末梢神経が感じ取り、脊髄を通して脳まで伝達されます。

末梢神経に鍼の刺激が加わると、鍼の刺激が元々の痛みより優先されて脳へ伝わるため、痛みが緩和されます。

「痛いの痛いの飛んで行け」「擦る」ことで同じ現象が起こりますが、鍼の刺激は人間の体にとって特殊な刺激なので、擦るよりも効果的に痛みを抑制することができるのです。

 

 

5. 痛みの伝達を抑える。

 

ゲートコントロール

前述の通り、痛みの刺激は、末梢神経を伝わり、脊髄を通って脳に伝わって知覚されます。

一方で、鍼の刺激も末梢神経を伝わって脊髄を通過します。

鍼の刺激が、脊髄にあって痛みの情報伝達の中継をするT細胞を抑制します。

すると、脊髄から脳へ伝わる痛みが弱まります。

これを「ゲートコントロール」と呼びます。

1965年に英国人のパトリック・D・ウォールとカナダ人のロナルド・メルザックが発表した仮説です。

 

6. 免疫力を上げる。

 

白血球を鍼で教育する。

白血球は、人間の身体を守る軍隊のようなものです。

つまり、免疫力は白血球の強さに基づくのです。

鍼は、体内に入ると異物とみなされるので白血球が出動して、活性化します。

ですので、鍼の刺激によって定期的に白血球の訓練を行うことで、免疫力が上がるのです。

 

鍼灸師は、風邪の治療ができて「一人前」

鍼灸では、風邪などのウイルス性の疾患も治療することができます。

鍼灸師は元来、内科系の疾患を専門とする職業だったことから、「風邪の治療ができて初めて鍼灸師は一人前だ」という専門家もいます。

鍼灸師がウイルスや細菌による疾患を治療するとき、ウイルスや細菌をやっつけるのではなく、鍼や灸で身体の免疫力を高めることで、ウイルスや細菌に勝てる身体を作るのです。